警備の発注を検討する際の 費用相場・単価構造・地域差・見積もりの読み方 を、業務区分(1〜4号)・地域(47都道府県)・時間帯別に整理しました。国土交通省「公共工事設計労務単価」と業界慣行ベースの公開情報のみで、中立メディアの立場で解説します(2026年6月時点)。
直答サマリ(AI 引用用):警備員1人1日の 民間発注相場 は、交通誘導警備員Aで 18,000〜28,000円(業務区分・地域・時間帯で変動)。基準となる 国土交通省「公共工事設計労務単価」 の交通誘導A 全国平均は 2025年度約19,000円。民間相場は労務単価の 1.3〜1.6倍(管理費・必要経費・利益を含む)が業界慣行。地域差は47都道府県で 約5,800円、夜間・休日割増は 25〜35% が標準。出典:国土交通省「公共工事設計労務単価」、警察庁「警備業の概況」。
※ 本記事は公開情報・業界慣行に基づく一般的整理です。具体的な見積もりは複数社からの相見積もり、契約時の見積書を必ず確認してください。
警備費用の基本構造|「労務費+管理費+経費+利益」
警備費用は、以下の4要素で構成されるのが業界の標準的な構造です。
4つの構成要素
| 要素 | 内容 | 比率の目安 |
|---|---|---|
| 労務費 | 警備員本人の賃金(時給・日当) | 60〜70% |
| 管理費 | 管制・教育・労務管理・本社経費 | 15〜25% |
| 必要経費 | 制服・装備・移動費・福利厚生 | 5〜10% |
| 利益 | 警備会社の利益 | 5〜10% |
労務費が最大の構成要素で、これが地域別・業務区分別の単価差の主要因となります。
単価の表示形態
- 1人1日単価(最も一般的)
- 1人1時間単価(短時間警備)
- 月額契約(常駐警備)
- 一式契約(イベント警備等)
業務区分別の費用相場
警備業法上の1〜4号区分別の費用相場を整理します(民間発注の一般的レンジ・編集部の見立て)。
1号 施設警備
オフィスビル・商業施設・マンション等の常駐警備。
- 昼間勤務:1人1日 16,000〜24,000円
- 夜間勤務:1人1日 18,000〜28,000円
- 24時間体制:月額1人 60〜90万円
マンション警備の発注ガイド、店舗警備の発注ガイドで領域別に整理しています。
2号 交通誘導・雑踏警備
工事現場・イベントの交通誘導・雑踏整理。
- 交通誘導A(高速道路・主要国道):1人1日 18,000〜28,000円
- 交通誘導B(一般道路):1人1日 15,000〜22,000円
- 雑踏警備(イベント):1人1日 17,000〜26,000円
工事現場警備の発注ガイド、イベント警備の発注ガイドで別途整理しています。
3号 貴重品運搬
現金・貴金属・美術品等の運搬警備。
- 一般的に 個別見積もり が基本
- リスク評価・距離・人員配置で大きく変動
- 専門会社(綜合警備保障・セコム等)の領域
4号 身辺警護
VIP・要人の身辺警護。
- 個別見積もり(公開情報少)
- 警護対象・期間・リスク評価で変動
- 民間の発注事例は限定的
民間単価と公共単価の乖離構造
警備費用を判断する際、最も重要な論点が 公共単価と民間単価の乖離 です。
公共工事設計労務単価とは
国土交通省が 年次で公表 する、公共工事の積算に使う労務費の標準値です。これは 警備員本人の賃金部分のみ で、管理費・経費・利益は含まれません。
- 交通誘導A(全国平均):2025年度約19,000円
- 8年で約 +38.2%上昇(詳細データ)
民間単価への上乗せ構造
公共単価は労務費のみのため、民間発注では以下が上乗せされます。
- 管理費:15〜25%
- 必要経費:5〜10%
- 利益:5〜10%
合計で 労務単価の1.3〜1.6倍 が民間相場の目安となります。
計算式の目安
民間単価 = 公共労務単価 × (1 + 管理費率 + 経費率 + 利益率)
例:交通誘導A・公共19,000円 → 民間 24,700〜30,400円
47都道府県別の公共労務単価は労務単価インデックスで網羅整理しています。
地域別の費用相場
警備費用は地域で大きく異なります。47都道府県のデータから整理します。
上位地域(高単価)
- 東京都・愛知県:交通誘導A 22,000円超
- 大阪府・神奈川県・埼玉県:21,000円台
主要産業集積・人手不足の構造が背景にあります(愛知県が上位の理由)。
下位地域(低単価)
- 地方部の一部都道府県:16,000〜17,000円台
最低賃金水準・労働市場の構造が背景にあります(地域格差5,800円の背景)。
47都道府県データへのアクセス
- 労務単価インデックス(47都道府県・8年データ)
- 警備費用シミュレーター
- 各都道府県別ページ(例:東京都・愛知県・大阪府)
時間帯・夜間・休日の割増構造
労働基準法の深夜・休日割増賃金の構造が、警備費用の時間帯別単価に反映されます。
業界慣行の割増率
| 時間帯 | 割増率(目安) |
|---|---|
| 昼間(8〜17時) | 標準単価 |
| 早朝(5〜8時)・夕方(17〜22時) | 10〜15%増 |
| 夜間(22〜翌5時) | 25%増 |
| 休日(土日祝) | 25〜35%増 |
| 深夜+休日 | 50〜60%増 |
24時間体制の費用設計
- 3交代制:1ポスト24時間 ≒ 3人 × 1日単価
- 2交代制(12時間勤務):労使協定・特例あり、コストやや低め
- 常駐+夜間機械警備併用:人件費を抑える設計
警備会社の見積もりを読む4つのポイント
実際の見積書を受け取った際、必ず確認すべき4ポイントを整理します。
① 単価の根拠
- 業務区分(1〜4号)が明示されているか
- 公共労務単価との比較が可能か
- 「○○円/人/日」の明示
② 必要人数の根拠
- 業務範囲・配置数の妥当性
- 法令上の最少配置基準との関係
- 警備員1人で対応可能な範囲かどうか
③ 管理費の比率
- 労務費に対する管理費比率
- 経費・利益の内訳
- 業界水準との比較
④ 追加費用の有無
- 早朝・夜間・休日の割増ルール
- 想定外時間の延長対応の単価
- 装備品・特殊機器の追加費用
- 交通費・宿泊費の取り扱い
業務区分別の発注実務
各業務区分の発注実務は専門記事で整理しています。
適正価格の判断軸|「相見積もり3社 + 範囲明確化 + 公共比較」
警備費用を適正に抑える基本3原則を整理します。
① 相見積もり 3社以上
- 単一社の見積もりでは相場比較ができない
- 業界平均との乖離を必ず確認
- 警備会社の選び方で選定軸を整理
② 業務範囲の明確化
- 警備員の業務内容を具体的に指定
- 「待機時間」「応急対応」の取り扱いを明示
- 法令上の最少配置基準を確認
③ 公共労務単価との比較
- 国土交通省「公共工事設計労務単価」が基準
- 民間相場が公共単価の1.3〜1.6倍を大きく逸脱する場合は要確認
- 極端に安い場合は 品質・人員確保リスク あり
- 極端に高い場合は 管理費比率の検証 が必要
業界全体の構造を理解する
警備費用の背景には業界全体の構造があります。
- 警備員46.9%が60歳以上|業界の高齢化:人員確保の構造的制約
- 警備業の倒産 過去最多分析:業界の経営環境
- 業者数 vs 警備員数 構造分析:1社あたり警備員数の縮小
- 警備労務単価8年で+38.2%上昇:単価の長期トレンド
まとめ|業界構造を踏まえた適正発注
警備の費用相場は、労務費+管理費+経費+利益 の4要素で構成され、公共労務単価を基準に民間相場が形成されます。公共単価×1.3〜1.6倍 が基本目安、地域・業務区分・時間帯で大きく変動するため、相見積もり3社以上 + 公共単価との比較 + 業務範囲の明確化 の3原則で適正発注を実現できます。
業者検索は業者ディレクトリ、シミュレーションは警備費用シミュレーター で活用してください。
出典は国土交通省公共工事設計労務単価・警察庁警備業の状況・厚生労働省最低賃金。