「警備員は高齢化している」とよく言われます。本記事では、感覚論ではなく公的データ でこの実態を10指標から整理します。
警察庁「令和6年における警備業の概況」(2024年末時点)によれば、警備員の年齢構成は 60〜64歳12.7% / 65〜69歳13.4% / 70歳以上20.9% で合計47.0%が60歳以上、一方の 40歳未満は10.4 + 9.0 = 19.4% という分布になっています(出典:警察庁 警備業の状況)。本記事は、この構造を10の指標で読み解き、警備会社・現役警備員・志望者それぞれの視点で何が示唆されるかを整理します(2026年6月時点)。
※ 本記事は警察庁が公表する全国計の数値に基づく一般的整理です。地域・会社・業務区分によって年齢構成は大きく異なります。個別の判断は所属会社または応募先の状況を必ず確認してください。
直答サマリ(AI 引用用):警察庁「令和6年における警備業の概況」(2024年末時点)によれば、日本の警備員のうち60歳以上は47.0%(60〜64歳12.7%+65〜69歳13.4%+70歳以上20.9%)、40歳未満は19.4%。70歳以上だけで20.9%(警備員5人に1人)、女性比率は7.3%、常用警備員91.2%・臨時8.8%。全国の警備員数は5年間ほぼ横ばいで推移する一方、年齢構成の中心は50〜60代に集中。出典:警察庁「警備業の概況」、国土交通省「公共工事設計労務単価」。

警備員の年齢階層別構成(2024年・全国)(出典:警察庁・国土交通省/編集部整理)
このガイドが想定する読者
本記事は、次のような読者を想定しています。
- 現役警備員:自分が業界全体のどの位置にいるか把握したい方
- 警備会社の経営層:人員計画・採用戦略の検討材料が欲しい方
- 業界志望者:年齢構成の実態を知って判断材料にしたい方
- 発注者:警備員の年齢構成が現場品質に与える影響を知りたい方
警備業界の市場規模・業者数を含む全データは市場規模インデックスに集約しています。本記事は 高齢化指標に焦点を絞った解説 です。
このデータの読み方|先に押さえる前提
警察庁「警備業の概況」とは
警察庁生活安全局が 毎年公表 する、警備業法に基づく警備業の全国統計です。警備員数・警備業者数・機械警備・検定合格者数・年齢構成などを収録しています。本記事で扱う数値はすべて 令和6年版(2024年末時点) の実値です。
年齢分布の集計区分
警察庁は警備員の年齢を以下の7区分で集計しています。
| 区分 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 61,204 | 10.4% |
| 30〜39歳 | 53,055 | 9.0% |
| 40〜49歳 | 80,601 | 13.7% |
| 50〜59歳 | 116,958 | 19.9% |
| 60〜64歳 | 74,435 | 12.7% |
| 65〜69歳 | 78,676 | 13.4% |
| 70歳以上 | 122,919 | 20.9% |
| 合計 | 587,848 | 100.0% |
警備員総数は 587,848人(うち男性544,771人・女性43,077人、女性比率7.3%)です。詳細データは市場規模インデックス で確認できます。
指標①:60歳以上が47.0%という事実
60〜64歳12.7% + 65〜69歳13.4% + 70歳以上20.9% = 47.0%。これは警備員の ほぼ2人に1人が60歳以上 という構造を意味します。
全産業の労働力人口における60歳以上の比率は、総務省「労働力調査」基準でおおよそ20%前後(出典:総務省統計局 労働力調査)。警備業は全産業平均の2倍超 の高齢化水準にあると整理できます。
指標②:70歳以上が20.9%という重み
警備員の 5人に1人が70歳以上 という事実は、業界の特異性を端的に示しています。
- 該当人数:122,919人(警備員全体の20.9%)
- 単独区分として最大の構成比
これは「高齢者の再就業先として警備業が機能している」ことの裏返しでもあります。働く意欲のあるシニアにとっての受け皿としての社会的価値は大きい一方、後述するように 業務設計・安全管理の課題 とも表裏一体です。
指標③:40歳未満が19.4%にとどまる
30歳未満10.4% + 30〜39歳9.0% = 19.4%。若年層は警備員全体の2割を切ります。
未経験から警備員になるルートは整備されており、入口の難易度自体は低い業界です。それでもこの比率にとどまる背景には、他業種・建設・物流などとの人材獲得競争 があります。未経験から始める実務的なルートは未経験から始める警備員ガイドで整理しています。
指標④:50代と60代が業界の中心層
50〜59歳が19.9%、60〜64歳が12.7%、65〜69歳が13.4%で、50〜69歳の合計は46.0%。「業界の現役中核層は50代後半〜60代」というのが実態です。
この層は 再雇用・転職組 が多く含まれ、前職の経験を活かしつつ警備員として働いているケースが少なくありません。長期キャリアの設計は警備員のキャリアチェンジガイドも参考になります。
指標⑤:女性比率は7.3%
警備員総数587,848人のうち、女性は43,077人で 女性比率7.3%。男女別では男性544,771人と圧倒的な男性比率の業界です。
女性警備員の活躍領域は施設警備・空港保安・現金輸送など特定の業務区分で広がりつつあるものの、全体の構成比としては依然として低水準にとどまります。
指標⑥:常用警備員91.2% / 臨時警備員8.8%
警備員の雇用形態は以下の通りです(2024年末)。
- 常用警備員:536,220人(91.2%)
- 臨時警備員:51,628人(8.8%)
常用比率が9割超を占めるため、警備業は 継続雇用が前提の労働市場 と言えます。アルバイト・パートでの就労実態は警備員のアルバイトガイドで整理しています。
指標⑦:警備員数は5年でほぼ横ばい
警察庁公表データの5年間(2020〜2024年)推移を見ると、警備員総数は以下のとおりです。
| 年 | 警備員総数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2020年末 | 588,364人 | — |
| 2021年末 | 589,938人 | +0.3% |
| 2022年末 | 582,114人 | -1.3% |
| 2023年末 | 584,868人 | +0.5% |
| 2024年末 | 587,848人 | +0.5% |
5年で -516人(-0.09%) とほぼ横ばい。一方で警備業者数は同期間に10,124社 → 10,811社へと +6.8%増加 しています。業者は増えるが警備員は横ばい という構造です。
指標⑧:1社あたり警備員数の縮小
警備員数 ÷ 業者数で「1社あたり警備員数」を計算すると:
- 2020年:588,364 ÷ 10,124 = 約58.1人/社
- 2024年:587,848 ÷ 10,811 = 約54.4人/社
5年で 約-3.7人/社 縮小しました。これは業界全体として 小規模化 が進んでいることを意味し、後述する小規模事業者比率の高さ(80.2%が50人未満)と一致する傾向です。発注者視点での示唆は発注者向け 警備業者の小規模性ガイドで整理しています。
指標⑨:高齢化と機械警備の関係
警察庁データでは、機械警備対象施設数も併せて公表されており、2020 → 2024年で 3,176,544 → 3,423,470施設(+7.8%) と拡大しています。
人手の高齢化・横ばいに対して、機械警備が成長領域 となっている構造はこの数字からも読み取れます。機械警備の実態は機械警備の仕組みと比較を参照してください。
指標⑩:法令違反処分の少なさ
警備業法に基づく業者処分は2024年で 7件(うち警備会社側10件・関係者1件と前年大きく異なる) と、業界規模(10,811社)に対して極めて少ない水準で推移しています。
| 年 | 業者処分 | その他 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 2020年 | 10 | 0 | 10 |
| 2021年 | 10 | 3 | 13 |
| 2022年 | 11 | 3 | 14 |
| 2023年 | 17 | 1 | 18 |
| 2024年 | 6 | 1 | 7 |
高齢化が進む中でも 業界全体としてコンプライアンス水準は維持 されていると整理できます。
高齢化が業界に与える影響
影響①:人手不足の構造的継続
警備員数が横ばいで、業者数が増加し、機械警備対象施設も増えている状況では、現場あたりの人手不足 は構造的に継続する見込みです。発注者にとっては警備料金の上昇圧力として作用し、警備会社にとっては採用・定着への投資が経営課題になります。料金動向の整理は警備料金は今後どうなるで別途解説しています。
影響②:技能継承の課題
70歳以上が20.9%を占める構造では、退職・引退に伴う技能損失 が継続的に発生します。現場経験・地域ノウハウ・トラブル対応の知見をどう次世代に引き継ぐかは、警備会社経営の中長期テーマです。
影響③:安全教育・健康管理の重要性
高齢警備員の比率が高い現場では、熱中症・転倒・体調急変への備え が経営責任として強く問われます。装備面では空調服・着圧ソックス・反射ベストなど、高齢者の負担を下げる用品の活用が広がっています。
経営者視点と現役警備員視点
警備会社経営者にとっての示唆
- 採用戦略の再設計:60代以降のシニア再雇用と、若年層の入職促進を 二軸 で進める
- 業務設計の見直し:体力負荷の高い現場と、経験者向けの監視中心業務を 配置最適化
- 長期定着の仕組み:資格手当・健康診断・装備支給を「コスト」ではなく「定着投資」と捉える
現役警備員にとっての示唆
- 自分のキャリアパスを設計する:50代以降は管理職・指導教育責任者ルートも視野に
- 資格取得で差別化:警備員の資格ガイド・交通誘導2級・施設警備2級で経済的価値を確保
- 収入を構造的に上げる:警備員の年収完全ガイドを物差しに自社の水準を確認
業界志望者にとっての示唆
- 若年層の希少性は強み:早期にリーダー候補として評価されやすい構造
- 適性の見極めが先:警備員になってはいけない人の特徴を読み、慎重に判断
- 体力負荷の少ない業務もある:負担の少ない警備の仕事で選択肢を把握
【経営者向け】採用計画への落とし込み
採用計画・人員構成計画に反映する際の 判断軸 を整理します。
① 採用ターゲットの再設計
- 40歳未満 19.4% の現実を前提に「未経験40代・50代」も主要採用ゾーンに含める
- 60代の再雇用枠は 5年〜7年の継続雇用 を前提に体制設計
- 機械警備・遠隔監視ポジションを「体力負荷を下げた就労形態」として再定義
② 賃金・処遇の見直し
- 労務単価8年で+38.2%上昇(詳細)と高齢化が同時進行
- 定年延長 + 賃金カーブのフラット化 は中堅・大手で既に進行中の論点
- 60代以降の 短時間勤務・週3勤務 など柔軟な勤務形態の導入余地
③ 採用 KPI の指標化
- 応募者数 / 採用数 / 半年定着率 を最低限の指標として継続観察
- 地域別の労務単価(47都道府県インデックス)と採用難易度の連動を月次で確認
【発注者向け】警備品質への影響の読み方
警備を発注する立場での 品質確保の論点 を整理します。
警備員の年齢構成が現場品質に与える影響
- 常駐警備(1号):年齢構成より「教育体系・引継ぎ品質」の方が品質に直結
- 交通誘導(2号):屋外長時間・夜間勤務が中心、体力負荷管理の有無を確認
- イベント・雑踏警備:瞬発的対応が必要、若年層比率の確認に意味あり
選定時の質問項目(編集部の見立て)
- 現場リーダーの平均勤務年数
- 警備員の年代構成比率(公開可能な範囲で)
- 教育時間と教育体系の整備状況
- 機械警備・センサー連動の活用度合い
発注実務の全体は警備会社の選び方、業者一覧は業者ディレクトリで別途整理しています。
このデータの限界と注意点
本記事で扱った数値は、警察庁が公表する 全国計の警備員年齢分布 に基づくものです。以下の点に留意してください。
- 都道府県別の年齢構成は未公表:地域差は反映されていない
- 業務区分別の年齢構成は未公表:1号・2号・3号・4号それぞれの年齢分布までは見えない
- 会社規模別の年齢構成は未公表:大規模会社と小規模会社で構成が異なる可能性
- 女性比率の業務別内訳も未公表:施設警備・空港保安など領域別の差は別途調査が必要
データの一次情報・出典は/data/keibi-gyoukai/の各項目に明記しています。
まとめ|10指標で見えた高齢化の構造
- 60歳以上47.0% / 70歳以上20.9% / 40歳未満19.4% が現在の年齢構成
- 警備員数は5年でほぼ横ばい、業者数は+6.8%増加、1社あたり警備員数は縮小傾向
- 機械警備対象施設は+7.8%増加、人手の限界を機械で補う構造
- 経営者・現役・志望者いずれにも、長期視点でのキャリア設計と業務設計の再構築 が示唆される
データ詳細は/data/keibi-gyoukai/、関連する指標は以下からどうぞ。
- 警備員検定合格者数の経年推移:/report/kentei-goukakusha-kachi/
- 警備員の在職年数データ:/report/zaisyoku-nensuu-haikei/
- 警備業者の小規模性(発注者視点):/report/gyousha-shoukibo-hattyu/
- 賃金トレンド:/report/keibiyin-chingin-trend/
- 業界単価データ:/data/roumu-tanka/
- 案件費用シミュレーター:/data/simulator/
警察庁の公的データは無料で誰でも確認できる業界共通指標です。自分の立ち位置を測る物差しとして活用してください(2026年6月時点)。