警備業界の東証プライム上場は セコム・ALSOK(綜合警備保障)・CSP(セントラル警備保障)の3社 のみで、業界売上規模では セコム・ALSOK が長年トップ2 を占め、CSP が3社目の存在 として独自のポジションを持っています。

本記事では、上場3社のうち 2位ALSOK と 3位CSP に焦点を当て、直近の有価証券報告書・決算短信・警察庁「警備業の概況」の一次情報から、両社の事業構造・売上規模・戦略の違いを中立比較します(2026年7月時点)。ランキング付けや優劣評価は行わず、事実引用と業界視点の整理に徹します。

※ 本記事はALSOK・CSPの直近決算短信(2026年3月期・2026年2月期)および公式IR資料に基づきます。売上・契約件数・事業構成は各年度で変動するため、最新数値は各社の公式IRページでご確認ください。本記事は個人向けに契約を勧める目的ではなく、業界視点で3位の位置づけを理解する解説です。

業界2位ALSOK・3位CSPの位置づけ

警察庁「令和6年における警備業の概況」によれば、日本国内の警備業者は10,811業者、警備業界の売上高は約3兆4,478億円(2024年集計)で推移しています。この中で 東証プライム上場の警備会社は 3社(セコム・ALSOK・CSP)で、上場3社の連結売上を単純合算すると業界全体の売上高の相当部分を占める構造です。

業界5社(セコム・ALSOK・CSP・全日警・東洋テック)の俯瞰は大手警備会社の一覧・売上ランキング で整理していますが、本記事では ALSOK と CSP の2社比較 に絞って深掘りします。ALSOK vs セコム の2位・1位比較はALSOK vs セコム|売上・シェアを上場3社IRで比較 で別途整理しています。

創業と業界における役割

項目ALSOK(綜合警備保障)CSP(セントラル警備保障)
創業1965年1966年
証券コード2331(東証プライム)9740(東証プライム)
主要事業機械警備・常駐警備・輸送警備・介護・防災機械警備・常駐警備・運輸(JR東日本系)
特徴1〜4号警備をフルカバーする総合型JR東日本グループとの資本提携で鉄道関連警備に強み
地理展開全国首都圏中心

連結売上高・営業利益の比較(2026年直近決算)

両社とも2026年決算で過去最高を達成しています。

業績指標ALSOK(2026年3月期)CSP(2026年2月期)
連結売上高約5,970億円(前期比+8.2%)約787億円(前期比+10.3%)
営業利益約469億円(+16.7%)約45億円(+3.9%)
経常利益約499億円(+15.8%)約47億円(+3.0%)
親会社株主帰属純利益約333億円(+22.7%)約25億円(-22.5%)
過去最高更新売上・営業利益ともに過去最高売上は過去最高

(出典:ALSOK 2026年3月期決算短信 ALSOK IR / CSP 決算短信、2026年4-5月開示)

売上規模では ALSOK が CSP の約7.6倍。ただし両社とも直近決算で二桁近い成長率を維持しており、業界の需要拡大を背景にした成長基調は共通しています。

事業戦略の違い

ALSOK:1〜4号フルカバーの総合型

ALSOKは警備業法上の1〜4号業務をフルカバーする総合型で、以下の事業ポートフォリオが公表されています。

  • 警備事業:機械警備・常駐警備を中核
  • 輸送警備:現金輸送・ATM補充等の3号業務(業界屈指の実績)
  • 介護事業:介護施設運営・訪問介護等
  • 防災事業:消火設備・防災機器の販売・保守
  • 地域会社の系列化:ALSOK北陸・ALSOK東京・ALSOK関西・ALSOK双栄など、全国に地域ALSOK会社を配置

全国カバレッジ×警備事業の集中度 が事業戦略の軸で、警備業の資本関係マップ でも「独立系グループの中で最も警備事業に集中したプレイヤー」と位置づけられます。

CSP:JR東日本系×首都圏インフラ警備

CSPはJR東日本グループとの資本関係を戦略の軸に、以下の事業構造を持ちます(CSP IR)。

  • JR東日本との資本提携:主要株主にJR東日本(持株比率約25%、株探等の公開情報 2025年時点)
  • 鉄道関連警備:駅構内・鉄道敷地・関連施設の警備
  • 首都圏中心の事業展開:関東圏を主戦場とする地理的集中
  • 機械警備:法人向け中心に首都圏で契約件数を積み上げ
  • オフィスビル警備・商業施設警備:JR東日本グループ関連施設との連携

規模ではALSOKに大きく及ばないものの、JR東日本という国内最大級の鉄道インフラ企業との資本関係 により、鉄道・都市インフラという明確なドメインで独自の存在感を発揮しています。

資本関係の違い

ALSOK:独立系上場企業

ALSOKは特定の親会社を持たない独立系グループで、東証プライム上場企業として自己完結型のグループ経営を行っています。地域ALSOK会社を系列化することで全国カバレッジを実現しつつ、独立した経営判断で事業を組成する構造です。

CSP:JR東日本との長期資本提携

CSPは1966年の創業以降、JR東日本(旧国鉄→JR東日本)と長期的な資本提携関係を築いてきました。株探等の公開情報によれば、JR東日本が筆頭株主として持株比率約25%を占めるとされ、事業面でも駅構内警備・鉄道敷地内警備でJR東日本グループとの深い連携があります。

この資本関係は、業界内で 「事業会社グループのインフラ系列に位置する警備会社」 の代表例として言及されます(警備業の資本関係マップ)。個別の株主構成・持株比率の最新値は必ずCSPの有価証券報告書・株主構成の公表資料で確認してください。

業界の業務区分(1〜4号)カバレッジの違い

警備業法第2条第1項が定める業務区分(1号〜4号警備の違い)でのカバレッジ比較:

業務区分ALSOKCSP
1号業務(施設警備・機械警備)○ 全国規模○ 首都圏中心
2号業務(交通誘導・雑踏警備)○ 全国規模○ 限定的
3号業務(貴重品運搬警備)◎ 業界屈指の実績△ 限定的
4号業務(身辺警護)

ALSOKは1〜4号すべてを高水準でカバーする総合型、CSPは1号(施設警備・機械警備)を中心に事業を組成しています。特に 3号業務(現金輸送)はALSOKの強み として業界内で認識される領域です。

発注者視点:どちらを選ぶか

ALSOKを選ぶ場合

  • 全国拠点をカバーする発注:地方拠点を含む全国展開の企業
  • 複合警備が必要な発注:機械警備+常駐警備+輸送警備を組み合わせたい場合
  • 介護・防災を含めた包括発注:警備以外の周辺サービスも一元発注したい場合
  • 総合力・実績重視:業界2位の連結売上規模と全国カバレッジを評価する場合

CSPを選ぶ場合

  • 首都圏中心の警備発注:関東圏に事業拠点が集中する企業
  • 鉄道関連施設の警備:駅・鉄道敷地・関連施設の警備需要
  • JR東日本グループとの連携がメリットになる発注:JR東日本関連の商業施設・オフィスビル等

発注者向けの選び方の総論は警備会社の選び方 を参照してください。

警備員視点:キャリアパスの違い

ALSOKでのキャリア

  • 全国配属の可能性:地方の地域ALSOK会社への配属
  • 業務区分の幅広い経験:1〜4号すべてで実務経験を積める
  • 輸送警備(3号)の専門キャリア:業界屈指の輸送警備部門
  • 介護・防災への横展開:警備以外の関連事業への異動機会

CSPでのキャリア

  • 首都圏中心の勤務:関東圏に勤務地が集中
  • 鉄道関連警備の専門キャリア:駅構内・鉄道敷地の警備実務
  • JR東日本グループとの接点:JR東日本の関連プロジェクトに関与する機会

両社とも東証プライム上場企業として教育体制・等級制度・資格取得支援が整備されており、給与水準も大手としてのレンジに収まります。個別の平均年間給与は各社の有価証券報告書で確認できます。

業界における位置づけの総合まとめ

観点ALSOKCSP
連結売上高業界2位・約5,970億円業界3位・約787億円
事業モデル総合型(1〜4号フル)特化型(1号中心・JR系)
資本関係独立系グループJR東日本と資本提携
地理展開全国首都圏中心
業務区分の強み3号(輸送警備)が業界屈指1号(鉄道関連警備)
業界内での役割業界2位の総合プレイヤー独自ドメインの専門プレイヤー

規模差は約7.6倍ですが、両社とも直近決算で過去最高を更新し、業界の需要拡大を追い風に成長を続けている点は共通しています。両社の位置づけの違いは 「規模の総合力(ALSOK)vs ドメインの深さ(CSP)」 という対比で業界内で理解されます。


編集部の見立て

警備業界の上場3社を業界視点で見ると、セコム・ALSOK は業界2強の総合プレイヤーCSP は独自ドメインを持つ専門プレイヤー という役割分担が長年続いています。売上規模だけで見ると3社間の差は大きいですが、CSPは JR東日本という国内最大級の鉄道インフラ企業との資本関係 により、単純な規模比較では捉えられない業界内でのユニークなポジションを保っています。

発注者にとっては「規模の総合力を評価してALSOKを選ぶか」「特定ドメインの深さでCSPを選ぶか」の判断が要点です。警備員志望者にとっては、全国型キャリアを志向するならALSOK、首都圏中心・鉄道関連の専門キャリアを志向するならCSPが選択肢に入ります。

警備ラボとしては、業界の意思決定インフラとして、上場3社の直近IRデータを継続的に整理し、事業戦略の変化を業界視点で発信していきます。個別事業者の詳細は、必ず各社の公式IR資料を一次情報として確認してください。

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