警備業界の 2強企業 であるALSOK(綜合警備保障)とセコムは、機械警備・常駐警備の主要事業で全国レベルで競合しながらも、事業領域・売上構造・歴史的経緯で明確な違いを持ちます。本記事では両社を 業界視点 で比較し、警備員としての働き方の違いも含めて整理します(2026年6月時点・公式IR資料および公開情報ベース)。
※ 本記事は2026年6月時点のALSOK・セコム公式サイトおよび直近の有価証券報告書・決算短信に基づきます。売上・契約件数・事業構成は各年度で変動します。最新数値はそれぞれの公式IRページでご確認ください。本記事は個人向けに契約を勧める目的ではなく、業界2強の構造を業界視点で理解する解説です。
業界2強の位置づけ
警察庁「警備業の状況」によれば、日本国内の警備業者は約1万事業者規模で推移しています。その中で 東証プライム上場の大手警備会社 は5社あり、特に セコムとALSOKの2社 が売上規模・契約件数・事業領域の広さで突出しています。
業界5社の俯瞰は警備業界の大手警備会社まとめで整理していますが、本記事ではセコムとALSOKに絞って深掘りします。
創業の経緯と業界における役割
| 項目 | セコム株式会社 | ALSOK(綜合警備保障) |
|---|---|---|
| 設立 | 1962年 | 1965年 |
| 創業背景 | 日本初の警備保障会社として東京五輪を見据え設立 | 東京オリンピック警備の経験を背景に設立 |
| 初の業界実績 | 1966年 日本初オンライン機械警備「SPアラーム」 | 1971年 国内大手として機械警備事業を本格化 |
| 上場 | 東証プライム | 東証プライム |
| 主要拠点 | 全国・海外(アジア・オセアニア・欧州) | 全国・海外(東南アジア中心) |
両社とも東京オリンピックを背景に発足した経緯を持ち、業界の歴史と歩みを共にしてきました。セコムが先行し、ALSOKが追従する形で業界の2強構造が形成されました(2026年6月時点・各社公式情報)。
売上規模と業績の比較
両社の連結業績は東証プライム上場企業として有価証券報告書・決算短信で公表されています。業界視点で押さえるべきポイントは以下の通りです。
連結売上高の規模感
セコムとALSOKの連結売上高は、警備業界の他企業(CSP・全日警・東洋テック)と桁違いの規模で推移しています。直近の有価証券報告書ベースでは、セコムが業界1位、ALSOKが業界2位 の状態が長年続いており、両社合計で業界全体の相当シェアを占めます。
| 業績指標 | セコム | ALSOK |
|---|---|---|
| 連結売上高(直近年度) | 1兆円台規模 | 5,000億円台規模 |
| 営業利益率 | 機械警備のストック型で安定 | 同左、輸送警備が利益寄与 |
| 連結従業員数 | 数万人規模 | 数万人規模 |
| 海外売上比率 | 一定比率あり | 一定比率あり(東南アジア中心) |
(具体的な数値は各社の直近有価証券報告書・決算説明資料を参照。2026年6月時点・最新は各社IRで要確認)
事業セグメント別の収益構成
両社の事業セグメントの構成比には明確な違いがあります。
セコム:セキュリティサービス事業(機械警備・常駐警備)を中核に、防災・メディカルサービス・保険・地理空間情報・BPO・国際の各セグメントを展開。事業ポートフォリオの広さが特徴で、警備事業以外の収益寄与度が一定程度あります。
ALSOK:セキュリティ事業(機械警備・常駐警備)と綜合管理サービス事業(ビル管理)に加え、現金輸送・現金処理・介護・防災 など、警備周辺領域への横展開で売上を作っているのが特徴です。
両社とも 機械警備のストック型収益 が利益の安定基盤になっており、新規契約獲得と解約抑制(チャーン)が業績の重要KPIである点は共通しています。
業界内大手の公式IR情報は ALSOK公式・セコム公式でも参照できます(業界視点での参照リンク。個人契約を勧める目的ではありません)。
事業領域の比較
両社の事業領域を業界視点で並べると、コア領域は共通しつつも周辺事業で明確な特色が見えます。
| 事業領域 | セコム | ALSOK |
|---|---|---|
| 機械警備(法人) | ◎ コア | ◎ コア |
| 機械警備(個人) | ◎ コア | ◎ コア |
| 常駐警備(1号) | ◎ | ◎ |
| 交通誘導警備(2号) | ○ | ○ |
| 輸送警備(3号・現金輸送) | ○ | ◎ 強み |
| 身辺警備(4号) | ○ | ○ |
| 防災事業 | ◎ | ○ |
| 医療・メディカル事業 | ◎ 独自 | △ |
| 介護事業 | △ | ◎ 強み |
| 保険事業 | ○ | — |
| 海外事業 | ◎ | ○ |
| 地理空間情報・BPO | ○ | — |
(◎:注力/主要事業、○:展開あり、△:限定的、—:公式に主要事業としての展開なし。2026年6月時点・公式情報ベース)
ホームセキュリティ事業の位置づけ
両社とも個人宅向けホームセキュリティを長年展開しており、業界2強としてシェアを分け合う構造です。両社のホームセキュリティは 機械警備のストック型ビジネスの個人向け部門 という業界内の位置づけで、新規契約獲得が成長指標になります。
警備会社経営者にとっては、両社のホームセキュリティの契約数推移は 個人セキュリティ市場全体の需要動向 を読む指標として参考になります。
法人セキュリティ事業
法人向け(オフィスビル・商業施設・金融機関・工場等)の機械警備+常駐警備の組み合わせ提案が両社の収益主力です。全国拠点による均質サービス提供 が両社の強みで、全国チェーン展開する企業の一括発注先として選ばれる構造があります。
法人発注検討者の選び方の業界視点は警備会社の選び方ガイドで整理しています。
機械警備事業の歴史的経緯
セコムは1966年に日本初のオンライン機械警備「SPアラーム」を開始し、機械警備のシステム設計と通信回線運用で先行しました。ALSOKは同分野で後発でしたが、1970年代から本格展開し、現在は両社が機械警備市場を寡占的に分け合う構造です。
機械警備の業務構造そのものは機械警備とは|仕組み・対応範囲と他号警備との違いで整理しています。
ALSOK固有:輸送警備と介護事業
ALSOKの大きな特色は 現金輸送(3号警備)と介護事業 です。現金輸送は金融機関・小売業者からの常時受託案件があり、安定的な収益源です。介護事業は警備会社の業務多角化として近年伸びている領域で、見守りサービスとの親和性が経営戦略の柱になっています。
セコム固有:医療・海外事業
セコムはメディカルサービス事業(在宅医療・健康関連サービス)と海外事業(東南アジア・オセアニア・欧州)の比率が業界他社と比較して高いのが特徴です。警備事業のノウハウをサービス産業へ多角展開する経営モデル が同社の長期成長戦略となっています。
警備員視点での働き方の違い
業界の警備員から見た両社の特徴を、業界一般論として整理します(個別の労働条件は各社の就業規則・求人票で要確認)。
配属業務の選択肢
| 観点 | セコム | ALSOK |
|---|---|---|
| 1号警備(施設・常駐)の配属可能性 | 多い | 多い |
| 2号警備(交通誘導)の配属可能性 | あり | あり |
| 3号警備(輸送)の配属可能性 | あり | 多い(強み領域) |
| 4号警備(身辺) | 限定的 | 限定的 |
| 機械警備管制業務 | あり | あり |
| 海外勤務の可能性 | あり | あり |
| 介護事業への異動可能性 | 限定的 | あり |
輸送警備に従事したい場合はALSOK、海外勤務志望や医療関連事業への異動可能性を重視する場合はセコムが向く傾向があります。
給与・賞与・等級制度
両社とも東証プライム上場大手として 賃金等級制度・賞与算定基準・退職金制度 が整備されており、有価証券報告書の「従業員の状況」欄に連結ベースの平均年間給与が記載されています。業界平均との比較に活用できる公的指標です(2026年6月時点・各社IRで要確認)。
警備員の業界全体の年収構造は警備員の年収完全ガイドで整理しています。
キャリアパスと階級制度
両社とも 隊員 → 隊長 → 副所長 → 所長 → エリアマネージャー → 本社管理職 の階級制度が明文化されており、長期キャリアプランの設計が可能です。階級ごとの役職手当・評価基準も社内規程で運用されています。階級制度の業界一般構造は警備員の階級・役職と昇格で整理しています。
教育・資格取得支援
両社とも 警備員指導教育責任者・各号警備業務検定1級・機械警備業務管理者 などの法定資格取得を会社費用で支援する制度を整備しています。資格手当も含めると、資格取得が直接的に給与に反映されやすい環境は両社共通です。
業界内での評価と競合関係
両社は業界内で 直接競合 として長年シェアを争ってきました。業界内の評価としては以下の構図が見られます。
- 機械警備のシェア争い:両社合計で機械警備の業界相当シェア。新規契約獲得とチャーン抑制が業績の主指標
- 法人セキュリティのコンペ:全国規模の法人案件では両社が候補として並び、選定基準は提案内容・価格・既存取引関係
- 個人セキュリティの広告競争:ホームセキュリティの広告投資は両社とも継続的で、業界全体の認知度向上に寄与
- 新規事業領域の差別化:ALSOKは介護・輸送、セコムは医療・海外で異なる方向に多角化
業界内大手としての位置づけ
両社は業界内では 「業界2強」「業界トップ2」 として扱われており、業界の標準的な経営指標(売上・契約件数・従業員数・教育時間)の参考値として参照される立場です。中小警備会社にとっては競合というより、業界の標準を作る存在として位置づけられます。
中小警備会社が大手2強と差別化する戦略は中小警備会社が大手と差別化する戦略で整理しています。
業界視点で見た選び分けの考え方
業界視点でセコムとALSOKを並べたとき、それぞれが向く文脈は次のように整理できます。
警備員のキャリア選びの観点から
- 輸送警備(3号)で経験を積みたい → ALSOK
- 介護事業・見守りサービスへの異動可能性を重視 → ALSOK
- 海外勤務の可能性を視野に入れたい → セコム(海外比率が業界内最大級)
- 医療・メディカル関連サービスへの異動可能性を重視 → セコム
- 機械警備の歴史的本流で働きたい → セコム(SPアラーム発祥)
- どちらも教育体制と等級制度は整備済みで、現場警備の差は小さい
法人発注検討者の観点から
- 全国チェーン展開の一括発注先を探す → 両社とも候補
- 金融機関・現金処理関連の警備 → ALSOKに豊富な実績
- 海外拠点を持つ企業のグローバル警備 → セコムが優位
- コンペでは両社に同条件で見積もり依頼 が業界での標準的進め方
法人発注の進め方は警備会社の選び方ガイドを参照してください。
業界全体の労務単価動向は警備の労務単価【最新版】で更新しています。
まとめ|業界2強の構造を押さえる
ALSOKとセコムは警備業界の2強として、機械警備・常駐警備のコア事業で全国レベルで競合しながら、周辺事業(輸送・介護・医療・海外)で異なる方向に多角化しています。業界視点で押さえるべきポイントは以下の3点です。
- 売上規模はセコムが業界1位、ALSOKが業界2位 で、両社合計で業界の相当シェアを占める
- コア領域(機械警備・常駐警備)は同等、周辺事業(ALSOK=輸送/介護、セコム=医療/海外)で差別化
- 警備員のキャリア選びは「希望業務」と「異動可能性のある事業領域」で選び分け
業界2強の理解は、警備員のキャリア設計・警備会社経営者の競合分析・法人発注検討者の選定の3つの場面で出発点になります。業界全体の構造は警備業界の大手警備会社まとめ、大手と中小の比較は警備業界 大手 vs 中小で関連整理しています。
本記事は2026年6月時点のALSOK・セコム公式サイトおよび有価証券報告書・決算短信の公開情報に基づきます。具体的な売上・契約件数・事業構成は各年度で変動するため、最新は各社IRページでご確認ください。